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捕獲を受け入れた野犬 陽柊(はるひ)

更新日:7月11日

今回は、野犬だった陽柊(はるひ)の救出に至る物語をお届けします。

 


陽柊(はるひ)の発見

令和2年の秋、保健所の職員が野犬の群れの巡回中に、体の毛が抜け落ち皮膚は黒ずみ血だらけになっている野犬に目が止まりました。保健所職員が見ても末期状態の皮膚病だと分かりました。この日からこの野犬の観察を開始。餌付けをすることになりました。

その野犬が陽柊(はるひ)です。早く捕獲し痒みや不快から解放してあげたいと、保健所職員は捕獲に向けて巡回を強化しました。そして、つむぎは捕獲後引き取る意思を伝え、準備し待っていました。

 


陽柊(はるひ)捕獲

陽柊(はるひ)は2ヶ月もすると餌付けに慣れ巡回車が通る路上に積極的に現れるようになりました。4ヶ月後には、車の脇でも餌を食べられるようになっていました。

そこで職員は車内から身を乗り出し首輪をかけて捕獲。陽柊(はるひ)は逃げる気配もなく、捕獲を素直に受け入れたのです。こんなにたやすく野犬が捕獲できることはまずありません。発見してから捕獲までわずか4ヶ月。この短い期間で餌付けができるほど人に対して警戒心がなかった野犬は珍しく、またこのエリアの群れで捕獲器ではなく、直接捕獲できたのは陽柊(はるひ)だけです。陽柊(はるひ)自らが捕獲を望んでいたとしか思えません。きっと体力の限界を悟って受け入れたのでしょう。



陽柊(はるひ)引き取り

令和3年2月中旬、陽柊(はるひ)の引き取り依頼がつむぎに入りました。「弱っている」とのことで、急いで陽柊(はるひ)を迎えに行きました。メンバーは、見た目だけでなく強烈な体臭を放っている陽柊(はるひ)の姿を間近で見て、すぐに動物病院へ向かいました。

 


陽柊(はるひ)動物病院診察

診察の結果、ヒゼンダニというダニが皮膚の角質層にトンネルを作り寄生し繁殖する疥癬という皮膚病を患っていました。血だらけの体は、痒くて掻きむしり皮膚を傷つけていたからでした。疥癬の症状は重度で、毛は抜け黒ずんだ皮膚がウロコ状にかたまり硬くなっていました。診察に立ち合った看護師さんもここまで重度の疥癬の犬を見たのは初めてだったそうです。そして疥癬ならではの酷い体臭。保健所でノミダニの駆除剤を散布したこともあり、まずは痒みを抑える治療からとなりました。フィラリアも陽性。初めて沢山の人間に囲まれて怖いはずなのに、大人しく診察を受け入れていた陽柊(はるひ)。抵抗する気力さえ無いほど体力も無くなっていたということでしょう。捕獲できて本当によかった。これでこの子の命が繋がりました。

   

 

陽柊(はるひ)の治療

疥癬の治療は、皮膚内に寄生しているダニを駆除するため薬の投薬と、皮膚の消毒洗浄となる薬浴です。まずは疥癬の治療をして、その後でフィラリア治療をすることになりました。


 

陽柊(はるひ)の仮住まい 

病院から、治療に専念するため代表宅へ移動しました。陽柊(はるひ)を迎えた代表は、

その姿を見て号泣してしまいました。沢山の動物を救って来た代表ですら、こんなに酷い疥癬の子を見たのは初めてで、辛かっただろうと思うと涙が止まらなかったと。助けて欲しくて自分から捕獲を受け入れたに違いない。そう確信したと言っていました。



陽柊(はるひ)回復

投薬とこまめな薬浴を続けて3ヶ月後には、皮膚は柔らかく滑らかになり、毛も生

えました。強烈な痒みからも解放されストレスもなく元気になりました。

その後のフィラリア治療も良好で、割と早く陰性になり健康な体を取り戻したのです。



陽柊(はるひ)完治 

疥癬が完治してからは、代表宅の先住犬と同じ部屋で過ごし、犬の社会を学びました。更に先住犬がしつけ担当となり、戯れ合いながら心を開かせていきました。陽柊(はるひ)は先住犬の真似をしながら人との接し方を学び、人との距離を縮めていきました。そうして人間社会にも適応していき、自分を出せるようになっていったのです。


野生の頃とは違い、雨風を凌げるお家の中で、飢えることなく安心して過ごせる毎日に表情もどんどん穏やかになっていきました。



陽柊(はるひ)の今 

陽柊という名前には、今までのようにジメジメとした場所で隠れるように生きるのではなく、これからは魔除け効果もある柊のように守ってくれる人間と寄り添い、太陽の下で堂々と生きて欲しいとの思いが込められています。

その名前が示す通り、陽柊(はるひ)は今、代表が里親となり、先住犬と姉妹になりました。

先住犬も元野犬の保護犬です。陽柊(はるひ)の気持ちが分かるのか、常に寄り添い続けています。また陽柊(はるひ)もこの先住犬を頼りにしています。代表は、その様子を見ているうちに、この2匹を引き離すことはできないと思い始めました。陽柊(はるひ)は群れの中で生きてきた野犬です。心から信頼している先住犬から引き離してまで譲渡会に参加させるのは酷ではないか、辛い経験をしてきた陽柊(はるひ)だからこそ、これからの犬生は陽柊(はるひ)が安心して過ごせる場所で幸せに過ごして欲しい。その思いが強くなり代表は自ら里親になることを決心したのです。

今、陽柊(はるひ)は先住犬と仲良く戯れあいながら毎日楽しく暮らしています。


 

最後に 

陽柊(はるひ)が捕獲されず野犬のままでいたら、寿命は短かったに違いありません。

野犬は自由で気楽と思われがちですが、自然界は過酷です。陽柊(はるひ)のように疥癬やフィラリアなどノミダニや寄生虫・細菌やウィルスに苦しんでいる子がほとんどです。家庭犬であれば治療で治る病気も野犬には命取りです。野犬を捕獲し、家庭犬として飼育することが野犬の命を繋ぐために必要です。

元は人間が捨て(逃がし)そこで繁殖を続け生きながらえている子たちは、野犬になりたくてなったわけではない子たちです。私たちは人間がおこなった罪を償うべく、野犬たちを救う事が使命であると感じて活動しています。

つむぎは、お家のない犬たちがいなくなる日を目指し、野犬全頭救出に向けてこれからもプロジェクトを継続していきます。

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